Top あ行 か行 さ行 た行 な行
ジャンル選択 は行 ま行 や行 ら行 わ行



このページの上に戻る   トップページに戻る


「海猿」「ブラよろ」が持つ作者の熱さは麻雀漫画でも失われず
示談交渉人M [amazon]
作者:佐藤秀峰
2001年近代麻雀GOLD(竹書房)連載開始
単行本 全1巻

<あらすじ>
 チンピラの坂本次郎は雀荘で知り合った示談屋の真島にバイトしないかと誘われる。誘われるがまま着いた場所はヤクザ相手に人質の解放を交渉する現場だった……。

<短評>
 「ブラよろ」の前に描いていた麻雀漫画。この作品も「海猿」「ブラよろ」のように命の意味を探るという佐藤秀峰特有の世界が描かれている。また麻雀漫画であるが物語の主題は先程言ったように「命の意味」にあり麻雀そのものについては深く描かれておらず麻雀の知識は必要なく読める。
 この作品は読む人によっては置いてきぼりをくらう印象がある。確かに物語は唐突に息詰まる展開を向かえそのまま加速していく為物語のバランスは少々チグハグで置いてきぼりをくらってしまうのも無理はない。ただ私の見解としては坂本が唐突に事件に巻き込まれたように読者もこの物語に唐突に巻き込まれた形にわざと構成したのではないかと感じる。坂本も当初の展開に「わからない事だらけだ…」と漏らしており読者の心情と合わさる所がある。これを面白いと感じるかは読者によって分かれるところであるかもしれないが……。
 しかしキャラクターは上手く仕上がっている。特に真島は主人公でなく物語の中でも特に語られることはないキャラであるがたった一つ「刑務所の中で蟻を踏まなかった」と語るだけで存在感のあるキャラにしてしまうのは上手い。この作品は賛否両論別れるだろうが、「海猿」「ブラよろ」を読んで佐藤秀峰を好きになった読者は一度は読むべきだろう。


ツキがある

 
   
ツキがない
ストーリー
画力
ギャンブル描写
キャラクター
命の意味
熱さ SS
評点 74


このページの上に戻る   トップページに戻る


無念であることが「生の証」だ……!
天 −天和通りの快男児− [amazon]
作者:福本伸行
1988年近代麻雀GOLD(竹書房)連載開始
単行本 全18巻

<あらすじ>
 裏プロとの勝負を望む井川ひろゆきはある雀荘で天貴史という男と対戦しイカサマ技の前に敗れる。ひろゆきはその男の魅力と雀力に興味を持ち行動を共にするようになる。

<短評>
 この作品は「アカギ」と比べるとイカサマ、トリック技が目立つが闘牌描写そのものは同じように素晴しい。また「赤木しげる」の存在が大きく際立つ。本来の主人公である天が赤木を1対1で倒した唯一のキャラであるにも拘らず印象の薄いキャラであるので、この赤木によって作品が動いているといっても過言では無い。特にラスト3巻は完全に天を置き去りにして赤木が哲学的に死を語るという内容になっているので、「アカギ」しか読んだことが無い読者はこちらも一度読んでみるといいだろう。
 実はこのラスト3巻の赤木を主役にした物語が素晴しい。簡単にあらすじを言うと、赤木は脳細胞が萎縮してしまう病気であるアルツハイマーに罹り、意志や信念…そんな自分を形成する諸々が永久に失われてしまう病気なので「自分」を保つ為に自殺することを決意する。自殺する前に麻雀仲間との別れの場を設けて……といった内容になっている。麻雀が分からないという人もラスト3巻は知らなくても読めるので読んでみるといいだろう。赤木が麻雀仲間に対して言い放つ一つ一つの言葉が重く読者に響き、また感動させる。特に赤木と天の最後の会話で赤木が涙しながら語る言葉はあまりにも感動的で私の中の銘言として心に残っている。ちなみに、この作品に対して「麻雀漫画じゃないねえよ」という突っ込みは野暮ってものである(笑)。


ツキがある

 
   
ツキがない
ストーリー
画力
ギャンブル描写 SS
キャラクター SS
無念だ……! SS
死の哲学 SS
評点 91


このページの上に戻る   トップページに戻る


「あンた背中が煤けてるぜ」
哭きの竜 [amazon]
作者:能條純一
1985年近代麻雀(竹書房)連載開始
単行本 全9巻

<あらすじ>
 牌に命を刻み込むように哭き続ける強運の持ち主「竜」。竜の強運を欲しいが為、日本の極道を動かしている男たちが竜と命を賭けて麻雀勝負する……。

<短評>
 この作品が発表される以前の麻雀漫画は麻雀を知っている人しか読まないジャンルであった。しかし、この作品は一般の人にも麻雀漫画を読ませたという麻雀漫画の革命的存在である。
 この漫画は麻雀というジャンルに任侠を持ってきたことが最大のセールスポイントである。むしろ任侠漫画と言ってもいいかもしれない。勿論、麻雀はこの漫画で重要なファクターをしているが、物語の中心は任侠にある。物語の中心と言ったが、中心人物は勿論「竜」である。この「竜」は驚異的運の持ち主でこの「竜」を自分のものにするため極道が麻雀勝負するというのはあらすじで書いたとおりである。このように「麻雀」と「任侠」の絶妙なバランスでこの物語は完成されている。
 そして忘れてはならないのが竜の台詞。決め台詞「あンた背中が煤けてるぜ(すすけてるぜ)」は未だに雀荘で物真似する人がいるほどである。他にも「早く打ちなよ、時の刻みはあンただけのものじゃない」や「己の裏だけは見せられない」等、竜という謎の主人公を演出した。
 この作品も麻雀知識は不要。あえて言うなら「哭き(なき)」を多発することは本来あまり良くないことぐらいは覚えてもいいと思う。竜にとっては「哭く」ことに深い意味があるのだが。それは作品を見て堪能してもらいたい。


ツキがある

 
   
ツキがない
ストーリー
画力
ギャンブル描写
キャラクター
決め台詞 SS
任侠
評点 80


このページの上に戻る   トップページに戻る